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すると、案の定2人の顔には驚きの色が滲んだ。
「お、おい待てよ」
「なんだい?」
首を傾げる僕に、サイカくんは少しの間何か言いたげに口を開いたり閉じたりしていたが……。
「……頼む。俺も、俺も一緒に行かせてくれ」
やがて、覚悟を決めたように真っ直ぐに僕の目を見据えると、力強い口調でそう訴えた。
「レオンには、まだ言いたい事とか、一緒にやりたい事とか……それに、告白の返事ももらってないし……と、とにかく、もしもこの先一生会えなくなるような事になったら困るんだよ。だから、その……頼むっ」
そう言って深々と頭を下げるサイカくんに続いて、エルちゃんも一歩前に踏み出しつつ、
「わ、私も一緒に行かせてください……っ」
揺れる深紫色の瞳で僕を見つめながら、力強く告げた。
「私もアリシアちゃんには、まだまだ言いたい事がたくさんあります。……それに、せっかく仲直り出来たのに、これでお別れなんて……そんなの嫌なんです。……だから、どうかお願いします」
頭を下げ、声を震わせるエルちゃんと、「お、お願いします」と改めて頼み込むサイカくん。
少しの間、僕は二人の顔を交互に見つめてから、「本当にいいのかい?」と真剣な声音で問い掛ける。
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