154人が本棚に入れています
本棚に追加
男の顔が、なくなった。
でも構いはしない。
うさぎが、大野信吾を殴り殺したのだから。
男は拳銃を身につけていた。やっぱり、只者じゃないんだ。
フォルスターと拳銃を剥ぎ取り、自分で身につける。
それらの作業を、僕は淡々とこなした。
急がないと、次の失格者が連れ込まれてくるだろう。
なんのためらいもない。
それが全て、美咲の為になるのなら__。
僕の服を着て床に横たわるのは、かつての【うさぎ】
それを見下ろすのは、うさぎの着ぐるみを着た【僕】
最後に、うさぎの頭を被って仕上げだ。
「おい、お前!」
そんな声に振り返ると、1番に目に飛び込んできたのは、世古佳恵だった。
猿に担がれている。
次の失格者は世古だったのだろう。
「殺したのか??」
「__」
「殺したのか!」
「__ああ」
声色を変えて答えた。
すると、猿はジーッとこちらを見ている。
まるで、審判を下すかのように。
睨み合いとも呼べる長い時間を打ち破ったのは、世古の甲高い悲鳴だった。
「お、大野くん__?」
青ざめて叫び声を上げる世古に、猿がスタンガンを押し付ける。
「殺したものは仕方ない。行くぞ」
最初のコメントを投稿しよう!