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安藤のせいだ。
あの時、安藤がすぐにスタートラインに立てばリレーは始まっていた。
美咲は走る気だったのに。
それで誰かを傷つけても、生き残ると強くバトンを握っていたはずなのに。
「美咲__」
撃たれた美咲をそっと抱き抱え、濡れない校舎に運んだ。
地べたになんか、大切な人を置き去りにできない。
僕の大切な人。
守ると約束したのに。
守れなかった。
その代わり、安藤は殺したから。
だから、ごめん。
美咲を抱えたまま、僕は校舎に背を向ける。
「もう終わったよ」
返事はかえってこない。
それでも僕は、優しく声を掛けた。
「帰ろうか、美咲」
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