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ユウが到着した時、ジンとサクは席をとって飲み始めていた。ユウもビールを持って、ふたりのいる席へ向かう。
「ユウ、おつかれ」
と、サクが声をかけてくれる。ユウはジンの隣に座り、「つかれたー」と言って大きく息をついた。
サクも同じく『胡蝶蘭』のホストである。ユウとジンよりも一年後輩だが、同じ年なので、三人で集まることが多い。ふたりともバイセクシャルなので、ユウよりもこちらの事情に詳しかった。
軽く乾杯をしてから、ユウは喉を鳴らしてビールを飲んだ。体に沁みてゆく。
「あー、生き返るー」
「おまえは、相変わらず色気ねえよな」
「ハぁ? いきなり何?」
唐突なジンの失礼な発言に、ユウは口もとを腕で拭いながら、彼を睨んだ。
「なんつーか、」ジンは品定めするように、ユウの全身を仔細に眺めた。「男に抱かれた後の色気がぜんぜんない」
向かい側でそれを聞いていたサクが、ぷっと吹き出した。
「なにサクまで笑ってるんだよ、」
ユウはむうっと口を尖らせた。テーブルの上には、焼き鳥や唐揚げ、サラダ等のおつまみが並んでいる。ユウは唐揚げをひとつとって口の中に放り込んだ。
「まぁ、ユウの場合はそこがいいんじゃないの」
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