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男性同性愛者向けに出張サービスを行う『胡蝶蘭』は、開店してそろそろ三年になる。店にはいくつか規定があって、ホストは客の無理な要求を断る権利を持っていた。
しかし、そうは言っても、何でもかんでも嫌だと言えるわけではない。それに、少し嫌がったくらいで、やめてくれるとも限らない。
全身に力が入らず、ユウは男に放り出された格好のまま、何度も深呼吸を繰り返した。
ユウの中に射液した男は、自分が満足すると、ユウの体のことなど構わずに、ひとりだけさっさとシャワーを浴びて、部屋を出ていってしまった。なぜなら時間を過ぎれば、延長料金が発生するからだ。
出張先は、移動時間に無理がなく、所在がはっきりしている場所であれば、基本的にどこでも良い。そして『胡蝶蘭』の店舗内部にも、いくつか個室を設けている。店舗の個室を使う場合、使用料は当然客持ちで、入室時間と退室時間が管理される。
ユウは震える手で、まだ熱を孕んだままの自身にそろりと触れた。
「う、」
とにかく、輪ゴムを外さなければと思ったが、先端からこぼれ続ける粘液にまみれ、ぬるりと指が滑る。
目尻に涙が滲むのを、手の甲で拭った。
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