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しばらくして、部屋のドアがノックされた。ユウは起き上がることが出来ずに、視線だけをドアのほうへ向ける。
「ユウ、大丈夫か、」
姿を現したのは、『胡蝶蘭』マネージャーのモトイだった。
モトイはユウの姿を見るなり、驚いた顔をして駆け寄ってくる。
「ほ、んと、むかつく、やめろっ、て、言った、のに、」
ユウは整わない呼吸の合間に悪態をついた。
「少し触るよ」
モトイはそう声をかけて、赤くなって苦しそうに震えているユウの中心に手を伸ばした。
ユウはびくりと肩を震わせ、その刺激を耐えるように唇を噛む。
ぐっと根本の輪ゴムに指がかかる。既にキツく食い込んでいるところに力がかかって、ユウは息を呑んだ。
「痛い?」
ユウの反応を見て、モトイはすぐに指を離す。ユウは声もなく、こくこくと頷いた。モトイの掌が、汗に湿ったユウの背中を、宥めるようにさする。ほんの少しだけ、体が楽になるような感じがした。ユウは、はー……、と長息した。
モトイはしばらくユウの背中を撫ぜていたが、やがて、ベッドヘッドに備え付けられている内線電話の受話器を上げた。
ユウは少しでも体の疼きが収まらないかと、繰り返し熱い息を吐き出す。肩や手足は冷えてゆくのに、体の中心の熱だけ消えない。
しばらくすると、再び部屋のドアが開閉する音がした。
「レイ、悪い、」
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