3話(麻由の気持ち)

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これに返信をよこせば、少しは私に興味があるということだろう。 あっ! そっか! もうとっくにマザコン野郎だから、興味を示すもクソもないか。 失敬、失敬。 麻由は冷めた目でスマホの画面を見つめながら、重苦しい玄関のドアを開いた。 「ただいま」の声に返事をしてくる者は誰もいない。 午後5時過ぎの部屋は、今日も暗闇に包まれているようだった。 玄関で靴を脱ぎすて、リュックをおろし、コートをハンガーに引っ掛けた私は、 リビングと合わせて3部屋ある一階を駆け抜けて、 二階にある父と母の部屋の間の、自室に入った。 スマホを片手に照明の電気を点けると、勉強机、敷布団の入った物置、大きめの本棚が姿を現す。 いつも仕事で忙しい両親は、ほとんど家に帰ってこない。 そのため、 他人から‐かわいそう‐という謎のレッテルをはられることが多かった麻由だが、 意外とこの生活が気に入っていた。 だからこそ『恋愛小説の書き方』とカラフルな文字で描かれた本を、本棚から取り出す。 きしむ床の上であぐらをかいて、本を開いた。 (ステップ1.好きでもない男の友人を、恋愛感情的な意味で好きだと信じ込むと良い悲恋小説が書ける) うまく出来たかな? 麻由は頬に薄気味悪い笑みを浮かべた。 好きでもない男の友人に… 蓮に…     
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