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反知性主義者のテロ
雅麗姫が言葉を選んでいると「過剰な情報開示はよくない」、と憲兵がたしなめた。急激な変化に妃花を混乱させるからだ。
しかし、いつまでも辛い現実を告げないわけにはいかない。
「お気の毒ですが、その会社はもうありません」
「そういうと思った」
麻生妃花は織り込み済みだったらしく、棺桶に備え付けの契約書を探し始めた。それらも破産管財人が回収している。
「その前に服を着ましょう。いくら女子しかいないと言っても、道徳警察が容赦しません」
雅麗姫は裸の女に色気のないリハビリパンツと病衣を羽織らせた。MCU(回復期集中治療室)に妃花を運び、所定の検査を済ませたのち、鎮静剤で眠らせた。
数日が過ぎて、精神状態が落ち着いた頃に雅麗姫が現在時刻と位置を教えた。
「今日はキリスト生誕後2037年8月30日星期天です。ここは東海省近畿市の人民施療中心。柳月台記念病院という名前でした」
雅麗姫が噛んで含めるように必要最低限の情報を与えた。あとは妃花がよほど鈍感でなければ、院内にあふれる漢字表記にそろそろ気づいているだろう。
「日中が調和したのね」
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