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「ようこそ、お待ちしてました。今年もよくおいでくださいました」
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
「ええ、相変わらずです。さあ私どもの家へどうぞおいでくださいまし」
「お世話になります」
「お嬢様が首を長くしてお待ちですよ」
「そうですか。良子さんはお元気ですか?」
「はい、そりゃあもう」
「それは良かった」
老人と老婆と一緒に、鬱蒼と木々が生い茂った森の中の道を抜けて、ひたすら前に進んでいくと、やがて古風な洋館が見えてきた。
静かな佇まい。
品のいい、この瀟洒な洋館も相変わらずだ。
老婆が洒落た洋館の扉を開けると、玄関口の広い空間に、着物姿の美しい女性が立っていた。
「いらっしゃいませ。ようこそ、おいでくださいました」
良子はそう言って、折り目正しくこちらにお辞儀をした。
「お久しぶりです、良子さん」
着物姿の良子はとても美しく、元気そうだった。
目を輝かせて、美しい瞳をさらに美しく見開いていた。
「お元気そうで何よりです。いらっしゃるのを楽しみにしていましたのよ」
「良子さんもお元気そうで。良かったです」
「それではお部屋にご案内致しますわ」
良子はそう言うと、小さく会釈してから、私の前を歩き始めた。
良子の家は、元々はホテルだったのだが、今は良子の自宅になっている。
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