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この島では、ずっと晴天が続いて、毎日猛暑の気候だったが、夜になっても気温は高く、熱帯夜の日々が続いた。 しかし海から吹いてくる夜風は、すこぶる心地良かった。 この海風に吹かれていると、つい睡魔に襲われ、ソファに座ったまま眠り込んでしまう。 波の音が、静かに聞こえる。 心地よい海風が、こちらを包み込む。 眠りこけた後、ふと目を覚ますと、目の前に良子がいた。 テーブルを挟んだ向かいの1人掛けのソファに座っていた。 アスティスプラマンテの瓶をテーブルに置いて、シャンパングラスを傾けている。 彼女に付き合うことにし、私もアスティスプラマンテを飲んだ。 シャンパンの泡が、まるで自分そっくりに見えた。 「また会えて良かったわ」 良子はそう言うと艶かしく微笑んだ。 「僕も」 シャンパンを飲み干しながら、私は同意した。 良子はシャンパンを飲みながら、私と色々な話をし、楽しそうに笑った。 その笑顔はあまりに眩しく、美しく、昔を思い出した。 私は良子の肩を抱いて、部屋の窓辺に向かった。 二人で夜の海を眺める。 「本当に会いたかったわ」 「ぼくもだよ」 「こうしていられるだけでも嬉しいわ」 「ぼくも嬉しい」     
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