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今年も夏がやって来た。 その島を訪れるのは一年ぶりだった。 漆黒の海の水面から浮び上がった小さな島に、いつの間にか辿り着いた。 静かな島だった。 民家がところどころにあるが、蔦の葉に覆い尽くされたものや、今にも倒壊しそうな建物が多く散見された。 錆びついた鉄塔や、廃屋の、荒れ果てて崩壊しきった室内の様子が、外からでも見て取れる。 だがその荒れ果て、崩壊しきった廃屋の室内に、ふと人影が見えた。 「やあ、久しぶり」 あちらから、そう言う声が聞こえた気がしたので、私も挨拶した。 「どうも、お久しぶりです」 その人影はちょうど一年前にもこの島で会った、老人のものだった。 「元気でしたか?」 「ええ、もちろん。1年ぶりですな」 「そうですね。お変わりないようで」 「お互いに」 「いつ来られたのですか?」 「今さっきです」 「私もです」 「そうですか。この島も相変わらず、それほど変わってませんな」 「そうですね」 老人と話をしていると、民家の後ろにある鬱蒼と木々が生い茂った森から、ふと老婆の影がこちらに向かって来るのが見えた。 こちらの気配に気がついた様子で、すぐに声をかけてきた。     
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