嫉妬

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どうしてこんなに好きになった?報われない恋なんて・・・苦しいだけだ。 だからなのかな? 誰か他に一ノ瀬さんの代わりになる人を探していた。 僕を愛してくれる人なら、誰でもいい。 悪魔でも天使でも、誰でもいい。 「大丈夫?」 僕が必死に一ノ瀬さんに抱きついていると、ダイニングから来村先生がやって来た。 一ノ瀬さんは、僕をパッと離した。 「ああ、大丈夫です。ご心配は要りません。そうでしょう?灯くん。」 離された僕はどこか虚ろでぼんやりしていた。 貴方はやっぱり・・・来村先生のことを好きなんですね・・・ 僕に同意など求めないでください。僕は、貴方のことを諦めなければならないんですから。 そうなんでしょう? 僕は、部屋に入って、扉をバタンと閉めた。 扉を背にしていると、二人の話し声が聞こえてくる。 「灯くん、大丈夫ですか?」 「はい、今日は色々あって心を使いすぎたようです。明日には、きちんと対処出来るようにすると言っていました。さぁ、今日は泊まって行けるのでしょう?」 そう言う一ノ瀬さんの嬉しそうな声が段々と遠ざかる。 僕はずるずるっと、その場にへたり込んだ。
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