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「うっっ・・・うっ・・・うっ・・・」
僕は咽び泣いた。
お父さんが居なくなるなんて、嫌だ・・・
「灯・・・大丈夫かい?」
お父さんが、僕の肩に手を乗せる。
僕は、ブンブンと頭を振った。
「やだ・・・やだよ!!お父さんが居なくなるなんて、やだ!!」
お父さんは、僕を抱きしめ、こう囁いた。
「大丈夫。まだ時間はあるよ。私の最後の時まで、愛してあげる。でも・・・そこから先は、一ノ瀬先生に頼んである。もう君をレイプさせるような真似は止める。私が死ぬまで、君を愛してあげる。」
僕の瞳から大粒の涙が溢れた。
やだ・・・やだ・・・お父さんが居なくなるなんて、考えられない・・・
僕は、生まれてからずっと、お父さんに学問を教わった。
この家から出られない代わりに、お父さんが、色々なことを教えてくれた。
文字も、本の読み方も、新聞の読み方も・・・
だから僕は、世間の波に沈まずに済んだ・・・
僕はお父さんだけが生き甲斐で、お父さんだけが好きだった。
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