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灯くんを揶揄かうのは楽しかった。いや、揶揄かうというか、私の一言で顔色を赤くしたり白くしたりして見せるのを見るのが、好きだった。
だから・・・嫌がることを無理矢理にしたり、私の事を一心に思って居るのを知らんぷりして、彼をあしらうのが楽しかった。
「僕はもう・・・貴方のことを諦めます・・・」
灯くんはハッキリとした口調でそう言った。
貌は、蒼白に真っ白に染まっていた。
これは・・・やり過ぎたか・・・
学園で、何か起こるだろう事は、事前に分かっていた。
あの学園で、男しか居ない閉ざされた世界で、彼のような存在が急に入って来たら、他の生徒がどう出るかなんて、明らかだった。
それでも、私は処世術を教えなかった。
どう処理すればいいのかを、敢えて教えなかった。
傷ついた貌を、私は見たかったのかも知れない。
それなのに、彼は、傷ついた貌を、見せてはくれなかった。
触れられた事実は、明らかなのに・・・その事に対して、私に頼っては来なかった。
こう言う事があった、と事務的に言うだけだった。
だから私は、体に聞いてやった。
本当は赤くなってなど居ない彼自身に、触れ、そして反応を楽しんだ。
彼は、他人に触れられる事に慣れて居る。
だが、私に触れられる時は、違った反応を見せるのだ。
彼は私の事が好きだから・・・
彼の気持ちを知っていながら知らんぷりして、とうとう、言わせてしまった。
「諦めます・・・」と・・・
始めて会った時から、惹かれていた。彼の美しさ、清純さ、清廉さに。真っ白な彼を、私の色に染めてみたかった。
だけど、私は、こう言った。
「未成年の貴方を絶対に抱きません」
この枷があったから、私には彼に手を出せなかったんだ・・・
愚かな自分。自分で自分の首を絞めている。今だって、来村先生なんかと抱き合う所を見せて・・・嫉妬させようとした・・・
私はなんて愚かな大人だ・・・
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