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私は、医者ばかりの家族に生まれた。
小さい頃から、英才教育を受け、この家を継ぐことだけを、望まれていた。
家は、大きな総合病院を経営していた。私立の、だ。
院長は、私の父が担っていた。
私は、父の家を継ぐべき、長男だった。
兄弟は、下に弟が一人と、妹が一人。
両親はもちろん、弟も妹も、私がこの病院を継ぐと思い込んでいた。
私としては、進路を勝手に決めつけられ、面白くは無かった。
小さい頃から私は、厳しい教育を受け、両親の愛に飢えていた。
愛情というものに、飢えていた。
近づいてくるのは、私の立場を知って居る者、又は私の容姿を勝手に勘違いしている者、もしくはその両方だった。
私は何よりも、本当の愛情というものを、知りたかったのに。
でも私は、両親の思う通りに、生きて来た。
そして、適当な相手と恋愛もしてきた。
決して、結婚したいと思うような相手は見当たらなかったのだけれども。
憂さを晴らそうと、新宿2丁目のゲイバーに通ったりもしていた。
そこで出会った相手と、一夜の快楽に溺れたりしていた。
女性よりも、男性の方が何かと気楽で快感も覚えやすかった。
勿論、病院には毎日行っていたさ。
完璧な、跡継ぎを装って見せていた。
そんな時に、患者としてやって来た須田守に出逢った。
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