287人が本棚に入れています
本棚に追加
「美しいですね・・・」
私が素直に感想を述べると、彼は嬉しそうに笑った。
「そうでしょう?僕の自慢の息子なんです。でも・・・僕のような目に遭わせたくない・・・」
その時口にした彼の言葉は、後になって分かることになるが・・・
監禁しているという、特殊な事情に、私は興味を持った。
そして、彼の息子の後見人になることを承諾した。
何より、彼のことを愛していた。
そして、それが、本当の愛情だという事を、私は感じていた。
始めて本気で好きになった相手・・・愛情を送ってくれる相手・・・
彼は、私に、本当の愛情をくれた。
それだけで、私は嬉しかった。
彼の家に初めて呼ばれ、彼の息子に会った時・・・似ている・・・と私は思った。
彼に生き写しだ・・・と・・・
写真で見た時よりも、息子に惹かれる自分が居た。
しかし、私は、息子に、灯くんに、慈悲を与えなかった。
父親の本当の残された時間を、灯くんに伝えた。
灯くんの瞳が悲しさで大きく歪む。
それさえ、美しいと私は感じていた。
愛されてこなかったが故の、愛して欲しいという欲求。
私は、彼に、そしてその息子に、私を本気で愛して欲しかった。
最初のコメントを投稿しよう!