一ノ瀬信二

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「美しいですね・・・」 私が素直に感想を述べると、彼は嬉しそうに笑った。 「そうでしょう?僕の自慢の息子なんです。でも・・・僕のような目に遭わせたくない・・・」 その時口にした彼の言葉は、後になって分かることになるが・・・ 監禁しているという、特殊な事情に、私は興味を持った。 そして、彼の息子の後見人になることを承諾した。 何より、彼のことを愛していた。 そして、それが、本当の愛情だという事を、私は感じていた。 始めて本気で好きになった相手・・・愛情を送ってくれる相手・・・ 彼は、私に、本当の愛情をくれた。 それだけで、私は嬉しかった。 彼の家に初めて呼ばれ、彼の息子に会った時・・・似ている・・・と私は思った。 彼に生き写しだ・・・と・・・ 写真で見た時よりも、息子に惹かれる自分が居た。 しかし、私は、息子に、灯くんに、慈悲を与えなかった。 父親の本当の残された時間を、灯くんに伝えた。 灯くんの瞳が悲しさで大きく歪む。 それさえ、美しいと私は感じていた。 愛されてこなかったが故の、愛して欲しいという欲求。 私は、彼に、そしてその息子に、私を本気で愛して欲しかった。
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