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私は彼を愛した。本気で。本当の恋愛だった。
初めての恋愛・・・彼は私に、彼自身が持っている全てを与えてきた。
病魔に苛まされている身で・・・苦しい身で・・・彼は私に全てを与えた。
息子が寝た後で、彼を抱く。
美しい見た目と、儚い病魔に冒された身で、私を魅了した。
「先生、お願いです・・・灯のことを・・・頼みます・・・」
睦みごとの最中でさえ、彼は息子の心配を口にした。
「分かりました。息子さんの面倒は、私が見ます。」
私は、そう答えていた。
愛おしい人の死が、目前に見えている状態で・・・私は、彼の息子を愛した。
ただ、息子の前では、そうとは気付かせずに・・・
彼が亡き後・・・彼の亡骸を庭に埋めた。
こんなことは、許されないはず・・・しかし、私と来村先生は、それをやってのけた。
愛おしい人が、ここに、近くに眠ってくれて居るのは、私の心に安らぎを与えた。
そして、息子の方に、私は気持ちを移した。
息子を、私の色に染めてみせる・・・私は誓った。
今、顔を赤くさせたり白くさせたりしている灯くんの様子は、見て居て楽しかった。
だが・・・
これ以上遊んでいてはダメだ。
灯くんの心が、軋んでしまう。
私は、本当の気持ちを告げようと、灯くんの部屋の前に行き、灯くんに訴えた。
私を許して欲しいと・・・
もう、揶揄かったりしないと・・・
本当の気持ちを告げる・・・それは、私にとっては、一か八かの大勝負だった。
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