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両腕の中の小さな体が、小刻みにカタカタと震えていた。今は2月だ。パジャマだけでうろつくには、寒い季節だ。
私は、彼を抱いたまま、部屋に入り、扉を後ろ手に閉めると、ベッドに掛けてあったガウンを羽織らせた。
「そんな格好では寒いでしょう。風邪でも引いたら大変です。」
「・・・一ノ瀬さん・・・こそ・・・バスローブで・・・・・」
おずおずと、言葉を口に出す。
私は、スッと、冷たい頬に手を差し入れた。私の体はまだ、先ほどの情交で火照っている。手は温かいはずだ。
すると、彼は私の手に頬をすり寄せてきた。
可愛かった・・・その仕草が・・・とても・・・
私は、言いたいことを忘れ、彼の頬をサワサワと撫でた。
彼の白い頬が紅潮するのを見て、少しだけ、安心する。
「何を・・・仰りたかったのですか?・・・話があると・・・」
灯くんは、聞き逃していなかった。私が言った言葉を。
私はそのまま、ベッドに彼を腰掛けさせ、隣に座った。これから、告白することを思うと、少し、決心が揺らぐ。
まさかとは思うが、もしも、拒絶されたら?
あり得ない事じゃ無い。
「来村先生とのことは・・・誤解です。私が本気で、本当に好きなのは・・・貴方です、灯くん。」
言った・・・言ってしまった・・・灯くんの反応は?・・・今まで散々虐めて来た。そう素直に受け入れてはくれないだろう。
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