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「来村先生とのことは・・・誤解です。私が本気で、本当に好きなのは・・・貴方です、灯くん。」
一ノ瀬さんは、ハッキリとそう言った。その美しい唇が、僕の名前を奏でる。嘘だ・・・聞いた途端に、そう思った。
嘘・・・嘘だ・・・うそ・・・うそ・・・う・・・そ・・・・・・
一ノ瀬さんが、僕を好きだなんて・・・僕と同じ気持ちの意味で、僕を好きだなんて・・・
夢かな?これは夢なのかな?僕、さっき、眠ってしまっていたのかも・・・そう思って、頬を抓ってみる。
「痛・・・・・・・」
頬は痛かった。ゆめじゃない・・・
ゆめなんかじゃない・・・
「本気です。夢などではありませんよ。灯くん、君のことを、好いています。愛している・・・と言えば、分かりやすいでしょうか?」
「あい・・・している?・・・」
「はい。貴方を、愛しています。」
なんで・・・なんでこんな僕なんかのことを?・・・信じられないよ・・・嘘としか思えないよ・・・
僕は、顔をブンブンと振った。
「そうやって、また嘘を言って僕のことを揶揄かうんでしょう?一ノ瀬さんが僕を愛してるなんて、信じられません・・・!!」
そう言った途端に、隣に座る一ノ瀬さんに、ギュッと、抱き締められた。
「嘘ではありません」と、耳元で囁かれる。息が掛かって、僕はフルッと震えた。
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