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キスを繰り返す。
何度も角度を変えて、唇が交わる。その内に、息が上がってくる。一ノ瀬さんも、同じ。
まるで待ちわびたように、僕達はキスに興じた。
素直になった今までの一ノ瀬さんの気持ちが、僕の中に溢れてくる。
「好き・・・・好きです・・・一ノ瀬さん・・・」
「私も貴方を愛しています・・・・・」
「どうして今まで、僕に意地悪ばかりしていたのですか?」
「申し訳ありません。貴方の反応が可愛くて。正直、告白するかどうかも悩みました。何故なら、やはり私は、貴方が成人するまでは、行為そのものを我慢しようと決めていたからです。」
「我慢・・・出来るんですか?」
「我慢して見せます。それほど、貴方のことが大事なんです。壊してしまいたく無いンです。」
「僕は、そんな柔なことでは、壊れませんよ。それでも?」
「これは、私の我が儘です。どうしても、大人になった貴方のことを抱きたいのです。それまでは、大人になるまで、待つつもりです。」
「じゃあ、どこまでしてくれるんですか?こういうキス止まりですか?」
一ノ瀬さんが、顔を離して、僕の瞳を見つめた。キレイな瞳に、僕は見惚れる。
「もう少し先まで・・・そう・・・私が貴方自身に触れるのは許してください。」
僕自身に触れる・・・それは最後まではしないという、一ノ瀬さんの決心だった。
それでいいの?僕はそれに甘えてもいいの?
僕なら、平気なのに・・・だって、お父さんにだって、知らない男の人達にだって、暴かれた体なんだから。
「貴方のことを、大切に、大切にしたいのです。分かってくださいますか?」
大切に想ってくれてるんだ。
僕の瞳から、涙が溢れ出た。
一ノ瀬さんは、その涙を指で拭ってくれた。それでもあふれ出す僕の涙。
一ノ瀬さんが、クス・・・と笑う。
「貴方は本当に・・・まだ幼い。泣き虫です。でも、大人になっても、その純粋さだけは、無くさないでください。私が、貴方を守りますから。」
ことのほか、優しく囁かれ、僕は一ノ瀬さんの腕の中に沈んだ。
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