再びの監禁

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応接室に残された僕と一ノ瀬さんは、無言のまま見つめ合った。怖い・・・何か言おうとすると、一ノ瀬さんが離れて行ってしまいそうで、怖くてしょうが無い・・・だって、だって僕が、悪いことをしたんだもの・・・何の言い訳もしようが無い。 「貴方の言い分を聞きますよ。そこに座ってください。」 冷やりとする声音で、一ノ瀬さんが、自分の向かい側に座るよう、僕に言いつけた。 僕は、言われた通りにするしか無い。 ジッと、静かな瞳に見つめられる。僕は、その視線を感じながら、視線を下に落とした。 顔が上げられない・・・一ノ瀬さんを見られない・・・何と言おうと、僕のそれは言い訳でしか無いから・・・いや、言い訳ですら、無い。でも・・・でも何か言わなければ・・・この人は離れて行ってしまうかもしれない。 「ぼ、僕は・・・浮かれていました。一ノ瀬さんに愛されていることを知り、浮かれてしまいました。だから学園で、僕に言い寄ってくる子達に、自分を与えてしまった。性行為が、どんなものなのか、僕は知って居て、それでも自分を与え続けて、無感動になっていました。貴方にされる行為以外は、何も感じなかったんです。何も感じないのをいいことに、自分を安く与えすぎていました。でも僕は、誰からも嫌われたく無かったんです。嫌われるのが怖かったんです。嫌われた僕では、貴方に愛されないと思い込んでしまいました。僕に最後までしないのは、僕がその価値が無いからだと、思って居ます。でも、他の誰かに愛されれば、貴方が僕のことを真剣に考えてくれるかもしれないと思い込んでしまいました。愚かな僕のこと、嫌いにならないでください。」 「・・・嫌いになど、なるわけがありません。嫉妬に、狂いそうです。こんな感情になったのは、初めてです。貴方がこれほどこらえ性が無いとは思いませんでした。だから・・・」 一ノ瀬さんは、そこで言葉を止めた。立ち上がって、僕に近づいてくる。そして僕の腕を取り、僕の部屋へ僕を連れて行った。 ベッドに、投げ出される。 ドン、と、ベッドに体が当たる。僕は、一ノ瀬さんを見上げた。
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