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僕を自由にする権利は無いと言いながらも、僕を拘束する一ノ瀬さん。
そうさせているのは、他ならぬ僕自身・・・
僕がいい子にしてれば、まだ学園に通えてたのかな。
でも僕は、子供っぽい子達が集まって居る学園にはもう、興味も無かった。
同い年の友達も、別に欲しくも無かった。
僕は一人で、一ノ瀬さんに愛されていればそれでよかった。
その日の夜、一ノ瀬さんはガウンに身を包み、僕の部屋の鍵を開けた。
来てくれるとは思って無くて、僕は嬉しかった。
でもそれを顔に出してしまったら、一ノ瀬さんは出て行ってしまうかもしれない。
僕は、無言で一ノ瀬さんをベッドに迎え入れた。
サッと、僕の寝ているベッドに入ってくる。
ごく自然な所作で・・・
「ここにはもう、二人きりです。貴方が私をどうしようと、貴方の自由です。どうしたいですか?」
「ぼ、僕の・・・自由?」
「はい。私は貴方を愛していると告げました。私を自由にしていいんですよ。」
そ、そんなことを突然言われても・・・僕は戸惑った。
「じゃ、じゃああの・・・」
「はい?」
「ベッドで、一緒に、寝て下さい。」
僕の言葉は、震えていた。
「それだけでいいのですか?繋がらなくとも?」
僕の頬は、カッと熱くなった。
「だ、だって、一ノ瀬さんは、僕がそれを望んでも、してくれないのでしょう?」
その言葉に、一ノ瀬さんは、ニッコリと笑った。見とれる程のキレイな笑顔だった。
「よく分かっておいでで。じゃあ、こうしてくっついて、眠りましょう。」
ベッドで、布団にくるまって、一ノ瀬さんの腕の中に閉じ込められて、僕は眠った。
ドキドキして、ろくに眠れなかったけど。
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