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「とにかく・・・お二人だけで、少しお話を・・・」
そう言って、一ノ瀬さんは部屋から出て行った。坂田先輩が、所在なさげに僕の部屋に佇む。
僕はなんとも思って居ないのに・・・何故貴方は僕のことをそんなに?・・・
「俺のことは、嫌いでも何でもいい・・・ただ・・・学校に来てくれ・・・でないと、俺は、またここに来てしまうかもしれない・・・君が心配だから・・・」
「僕の何がそんなに心配なのですか?僕は、僕の思ったように生きている。貴方に心配される理由は無いンです。もう僕に、構わないでくれますか?」
「・・・ごめん・・・でも俺・・・君のことが忘れられない・・・本当に君の事が好きなんだ・・・」
「だから、それが迷惑ってこと、分からないんですか?」
「済まない・・・でも俺・・・君のことを・・・」
しつっこい。
僕は、もうこの人と話したくは無かった。一ノ瀬さんに会いたい。一ノ瀬さんに愛して貰いたい。学園の子供っぽい連中になど、僕は興味が無かった。
でもこの人は・・・本当に僕のことを心配してくれてるんだろうか?それは、なんでなんだろう?僕のことを本当に好きなのかな?だとしたら・・・無碍に出来るんだろうか?この人のことを・・・
坂田先輩の顔を窺い見た。とても整った顔をしていた。きっと、モテるだろうに・・・
なのになんで僕なんですか?貴方には、女性の方が似合ってる・・・
「俺・・・君のことを・・・本当に・・・好き・・・なんだ・・・」
切なげに歪まれる坂田先輩の顔。
女性にモテるだろうに・・・なんで僕なの?
僕は、坂田先輩に近づいた。そして、その頬にキスをした。
坂田先輩が、目を見開いて僕を見つめる。僕は・・・何をしようと?・・・
僕が好きなのは一ノ瀬さんだ。一ノ瀬さんしか、要らない。
なのに、僕はなんでこんなことをしているんだろう?
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