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「でも、どうして一ノ瀬さんがここに来たのですか?お父さんの主治医なんですか?」
僕は、涙をなんとか止めて、立ったままの一ノ瀬さんに尋ねた。
「ええ。私が、担当させていただいてて・・・今回このお話に共感して、こちらに伺いました。」
「僕の世話なんて、めんどくさいこと、なんで了解されたんですか?」
「貴方の写真を見せられました。とても美しい少年で・・・魅了されました。それから、お父様にも、その優しさに、共感しました。でも・・・私は、貴方をここから出してあげたい。お父様がどうして貴方をここに閉じ込めたのかがまだ分かりませんが、私は外の世界も知って欲しいと思って居ます。」
僕を・・・
外の世界に・・・?
こんな貧弱な僕が外の世界に出られるんだろうか?
でも、その提案はとても嬉しいものだった。
僕・・・外に出て見たい・・・
こんな素敵で、こんな優しい人がいっぱい居るのかな?
今まで外に出たいなんて、思ったことも無いのに・・・
外の世界の人と触れて、僕は贅沢になって居た。
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