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「明日・・・学園に行きます。そしたら、坂田先輩・・・休み時間は一緒に居て貰えますか?」
坂田先輩は、僕を仰ぎ見て、その顔を破顔した。
「も、もちろん!!もちろんだとも!!俺の方こそ、一緒に居てくれ!!」
「・・・・・・・・・・」
その嬉しそうな顔を見たら・・・僕はどうしようも無く学園に行きたくなっていた。
「では・・・明日・・・」
「うん。明日・・・な。」
そう嬉しそうに言って、坂田先輩は出て行った。
僕は、なんでこんなことをしているんだろう?あの嬉しそうな顔が、いつまでも僕の心の中に止まっていた。
僕の一言で、あんなにも嬉しそうにしてくれるなんて・・・
僕なんて、居ても居なくてもいいものだと思って居た。
一人この家に監禁されてきて、僕には生き甲斐なんてものは無かった。
恋も、要らなかった。ただ気持ちよくなれれば、それでよかった。
人間らしい恋愛などとは、無縁だった。
いや、一ノ瀬さんには、恋愛感情を抱いていたと思う。そう思うけど・・・
坂田先輩のあの嬉しそうな顔・・・僕は静かにほくそ笑んだ。
「明日から、また学園に行くのですって?」
一ノ瀬さんが、僕の部屋に入って来た。僕は、その愛おしい人の顔を見つめる。
「はい、一ノ瀬さんも、僕をあの学園に戻そうとしていたのでしょう?なら、明日から、僕を学園に行かせてください。お願いします。」
僕は、頭を下げた。
一ノ瀬さんは、フッと、溜息をつき、「いいでしょう」と、諦めたように言葉を紡いだ。
安心してください、もう僕は、誰彼構わず抱かれたりしません。
貴方のことを一番に愛しています。
それでも・・・坂田先輩のことを頭から追い出すことは出来なかった。
明日から、あの子に守って貰おう。
僕は一人、そう考えて居た。
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