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今年の夏はゲボゲボに暑くて熱中症も世界中で起きててそうとうヤバイ。らしい。というようなことを、海斗は母お手製インスタントラーメン野菜入りをすすりながら見たテレビのニュースで知った。
確かに手に持ったボリバリくんのソーダアイスの溶けるスピードがやったらめったら早いような気がする。
ラーメンをすすりながらかじった、残り物の冷やご飯の握り飯がおいしかった気がする。
溶ける前にアイスをすするように舐めていたら横のしけた面した幼なじみの顔が見えた。
「アイス溶けるぞ」
「……うん」
返事はしつつも、となりを歩く幼なじみはアイスに手を付けず、コーンの上のソフトクリームバニラ味がダラダラ溶けてどーすんだこれ状態になっている。
溶けかけの白いアイスに、真っ白な夏休みの宿題のプリントを海斗は思い出したが、そんなものは知らん知らんと頭を振った。
「あんなバカほっとけ」
「……うん」
「健司のやつ、お前がばーちゃん大好きだったの知らねーし」
「……うん」
犬が寂しげにしっぽを揺らすみたいに、幼なじみのワンピースの裾がヒラヒラ揺れる。
「だからさ、気にすんなよ。健司の言ったことなんてさ──なあ、芙蓉」
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