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「ここに高槻着たっ!?」
「………」
「なんで黙ってんの!?」
「………」
「今、下ですれ違ったんですがアイツに似た奴とっ!?どういうこと!?──」
激しい剣幕の夏希ちゃんをあたしはゆっくりと見上げた。
「……バイトから帰ったら待ち伏せされてた…」
「……っ…」
夏希ちゃんはショックを受けた様だった──
しゃがんだあたしと目線を合わせあたしの顔を覗き込む。
「部屋入れたの?なんで?何もされなかった?」
「なんにも…」
そう、まるで普通に遊びに着たように過ごして帰って行った──
夏希ちゃんは部屋に入って見渡した。
高槻に出したままのお茶を流しに捨てると夏希ちゃんはあたしのベットルームまで見て回る。
部屋の様子に変わったところは伺えない。
夏希ちゃんはポツリと口を開く──
「ほんとに来ただけなんだ…」
「うん…」
「新しい電話番号聞く為だけに態々やってきたみたい…」
「行動力すごいな…さすが体育会系」
「うん…アイツは体育会系の中でも群を抜いてるから…」
「俺…やっぱ負ける?」
「……ぷ…」
「笑って誤魔化すな」
「負けないよ…大丈夫」
「………」
「勝負になんないよ」
「……ほんとに?」
「うん、あたしが言うから間違いない!」
「それが一番確信持てないって知ってる?」
「──…ひどっ!?」
二人でしゃがんでボソボソ語ると夏希ちゃんの言葉にあたしは笑いながら返していた。
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