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ただ、夏希ちゃんは密かに眉を寄せるあたしをどこか楽しそうに見ていた。
「妬いた?」
「妬かないっ」
「嘘だね、妬いたでしょ?」
「ぜんぜん妬かないっ」
「もう、強情っ張りだなっ!」
「強情じゃないよ。余裕なだけ」
「余裕?」
「……夏希ちゃん今、熱烈告白したばっかりじゃん」
「………」
「だから余裕。ちゃんちゃらおかしい。襲いたきゃ襲えばいいよ?夏希ちゃん捨てればすむ話だから」
ふふん、なんて鼻を鳴らして言ってやったら夏希ちゃんは黙ってる口をゆっくりと噛んだ。
「捨てたらだめ──」
「浮気したら捨てる」
「浮気しない」
「未遂も捨てる」
「──…っ」
夏希ちゃんは思いっきり拗ねた顔を見せていた。
「未遂ってどこからが未遂?」
「……躰に触ったら未遂」
「俺、ラブシーンだらけじゃん」
「……仕事はしょうがないね」
「許す?」
「考えとく──」
夏希ちゃんはガバッと抱き付いてきた。
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