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「許しなさいっ俺が晶さんの浮気許したんだから仕事のラブシーンぐらい許さないとダメッ…俺、仕事出来なくなっちゃうじゃん」
「それ困るね」
「そうだよ…」
「困るから別れてあげる」
「………」
夏希ちゃんは目を見開いた。
あり、冗談でも言っちゃだめだったかな…?
「……じょ、冗談だよ…」
「当たり前だよ。冗談でも言ったらだめだよ」
「………」
夏希ちゃんは本気で怒ると迫力ある。静かに怒った時はまた格別だ。
不満も露に夏希ちゃんは背を向けてしまった…
黙ったままの背中が怒ってるのがわかる。
「ゴメン…」
「……嫌とか通り越して怖いからっ──」
「──…っ」
小さく謝るあたしの言葉を遮った。背中を向けたまま、いきなり大きな声で訴えられてビクリとなる。
「……晶さんの口から別れるとか聞くのすごい怖いからっ…冗談でもやめて…冗談でもいやだ…聞きたくない」
そう言いながら…
背中を向けたままの夏希ちゃんの手が、隣で大人しく横になるあたしの手を探りながら掴んだ。
「ごめん。もう言わない」
「……当たり前」
「………」
「言っても聞かない──」
くるっと向いてあたしを抱き締める。
この手の会話はあたしと夏希ちゃんでは捉え方が違うのだとちょっと理解した。
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