103人が本棚に入れています
本棚に追加
・
「いったい何しに来たわけ?」
「お前の生活を覗きに──と、あとは新しい電話番号の回収」
「教えないよ」
とに、替えた意味ないじゃんそれじゃっ
「教えなきゃ待ち伏せするしかないな…」
「なっ!?」
高槻は立ったついでに言いながら部屋を見て回る。
「お、懐かしいなこれ…お前の?」
「多恵ちゃんのだよ、地元に引き上げる時に貰った」
高槻は棚にあった薄いアルバムを引き出して開いていた。多恵ちゃんがあたしが寂しくないようにとくれた品だ。
「ふーん…やっぱお前俺のこと好きだな?」
「………」
何を目にしてそんな判断をしてるのだろう──
そう思う写真でもあったのだろうか?長いこと開いてないから覚えがない…
「いつの話?──地球はあんた中心に回ってないよ?」
「は?そんなん当たり前!地球回してやってんのは俺だ」
そうきたか…
「…どうでもいいけど早く帰ってよっ…」
夏希ちゃんきたらどうすんのさっ!?
鉢合わせちょーこわいっ…
「なに?夏希だっけ本名…あいつここ来んの?」
「来るよ、付き合ってんだから当たり前じゃん」
「叔父さんは?留守の時に来るのか?」
「健兄はほとんど留守。あたし独り暮しみたいなもんだから…もういいでしょ?」
あたしの近況を多恵ちゃんからどこまで聞いているのだろうか──
あたしに地元に帰ってきて欲しい多恵ちゃんは、どっちかっていうと高槻の味方だ。
最初のコメントを投稿しよう!