最後のお悔やみ

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 天邪鬼な女。どうしてこんな女と兄は約束したんだか。  そうは思っても、どこか納得してしまうのが悔しい。 「それに、あんたのパートナーは私でしょ。これが取れても、それは変わんないよ」  罰則具を揺らしながら、春子は言う。少しだけ照れ臭そうな顔は、なんだか兄を思い出した。 「うん、そうだな」  思わず笑えば、春子は「うん」と同じように笑って頷いた。 「じゃあ、俺は…先に向こうに行ってる」 「うん」 「俺はお前を探すから、お前も俺を探せよな」 「わかってるよ」 「どうだか」  呆れたように言えば、春子は「信じてないな…本当」と溜息まじりに呟いていた。  その仕草を見て、思わず笑いそうになる。  俺達は、相性がいいのか悪いのかとことんわからないなと思った。 「………春子、」  そろそろ時間だ。 「向こうで会えたら、」  ぐらぐらと視界が、揺れ始めていた。  正直、身体を起こしているのも限界なくらい、身体が重くなり始めていた。 「本当に、傍にいてくれるか」  本当は不安なんだ。  一人の世界は怖くて、寂しくて、本当は、不安でいっぱいなんだよ。  そう告げれば「女々しい男だな」と春子に悪態をつかれかねないと思って下手なことは言えなかった。  それでも、それだけは。  どうしても、どうしても。
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