最後のお悔やみ

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          □  最後に小指を絡ませて「ああ、約束」と言ったアザミはそのまま姿を消してしまった。  青天目さんほどではないけれど、小さな光の粒となって、まるで浄化するようにいなくなってしまったのだ。 「お疲れ様、雨賀谷さん」  急に声を掛けられて振り返る。 「あ、千々波さんっ!…それにホズミ、トトリ…なんで…」  そこには千々波さん……とホズミ、それからトトリがいた。 「なんでじゃないわよ!あんたお陰で天界はてんてこ舞いなんだから、青天目は消えちゃうし、あーくんまでいなくなるし、どうしてくれんのよ!」 「トトリ、いいから」 「ホズくんだって!あーくんいなくなって寂しそうだったじゃない!トトリだって、青天目が…」  やけに静かなホズミや今にも泣き出しそうなトトリが言い合いをしている中、千々波さんが私の前までやってきて指を弾くと、罰則具をパキンと外してくれた。  そう言えば、と振り返った足元には、さっきまでアザミが付けていた罰則具が落ちている。  それを拾い上げ、千々波さんが「役目を終えたみたいだね」と私を見た。 「あ、そう…なんですかね…あまり、実感はないんですけど…」 「うん、終えたよ。君のお陰で、青天目も、それから薊森田くんも、本来進むべき道に進めたんだから」 「……」  煮え切らない顔をしていると、千々波さんは「さて」と手のひらを叩いた。 「のんびりはしてられないよ。君の身体を、うつし世へ戻さないといけないからね」 「え、」 「徳も生モノと同じで仕入れたらすぐに使った方が鮮度もいいし…力も使いやすい。君を戻すなら、徳の残り火が散っている今が絶好タイミングなんだ」 「そ、そういうもんなんですか!?」  驚きで思わず声を上げた千々波さんは、「そういうものだよ」とぽやぽやとした口調で答えた。
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