epilogue.

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 大学を選ぶ時、私は天文学を選べる場所を目指した。正直、諦め半分だったけど、受験勉強を必死に頑張って、ライン擦れ擦れで合格を勝ち取った。  勿論、大学の勉強は難しかったけどやりがいがあった。  天体と宇宙、そして、この世界がどうやって成り立っているのか。  口にした事はないけど、そこからわかり得る死後の世界が、とても気になった。  空想や妄想でしか有り得ない世界のことが無性に気になって、哲学や神学の授業を取ってはもやもやを募らせていた。 「やっぱりないのかな…」  死んでからの世界なんて。    大学の図書館で、独りごちる。  そろそろ行かないと…、あ、そうだ。ゼミ室に寄ってからバイトに行こう。 「先生、昨日言ってたレポートで使う本、何冊か抜粋してみたんですけど見て下さいますかー?」  最近は毎日のように通っているゼミ室のドアを開け、少し大きめの声を掛けた。  部屋の電気が付いているのに、返事がないので「またか…」と息を吐いた。  先生は少し耳が遠い。生徒が声を掛けても気付いてない時が多々ある。 「先生、本持って来たんですけど、見てもらえません、」  か。と今一度声を掛け、教授用の机がある棚の裏を覗き込んだ。  すると、そこに教授の姿はなくかわりに知らない男の人が立っていた。  すらりと背の高い人だった。  背中しか見えないけど、スタイルがとてもいい。  初めて見かけるかもしれない。  そういえばゼミ生の誰かが、編入生が来るって言ってたっけ。  年齢はいくつか上の、男の人が。 「あの、すみません…きょ…教授、いないんですか?」    とりあえず誰かわからないけど、引き続き声を掛けた。ここに居ると言うことは、先生の行き先を知っていそうだ。  振り返るその人が、何か本を持っている。  ああ、それは前読んだ事があるな…確か、 「文の綴り方が載ってる…本……」  ぱっと顔を上げ、そうして、  そうして、  私は息を止めた。
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