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「……分かってるよぅ」
彼女に促されるまま、あたしは抱き付いて涙を溢す。
分かってる。あたしは妖狐、2人とは違う。彼らのお父さんが早くに他界したから、長男の和ちゃんが急いで仏門に入り、この「清行寺」の住職になったのだ。それに――。
「お前が恩義だけで動いちゃいないこと、わたしゃ、ちゃあんとお見通しだ。だから、心配なんだよ」
「うぅ……たまばぁ……」
それに、彼らのお父さんが早世したのは、あたしのせいだ。だから、あたしは2人を、清水家を、みころ村を、守らなくちゃならない。
「お前が、和達ときょうだいみたく育ったのを見てきたからね……だけど、わたしらは妖かしだ。分を弁えなくちゃなんねぇ」
たまばぁの言うことは正しい。張り裂けそうな気持ちのまま、ただコクコクと頷くしかなかった。
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