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それから、上着の内側に着ていたためかろうじて血が付着していない袖なしの黒い服を、頭からかぶる。
最後に、これまた細く裂いた布の余りで後ろ髪を適当に結わうと、不格好ながらもなんとか体裁は整った。
東雲は部屋を見まわし、隅に置かれた麻袋のひとつを開いた。
中には米粒ほどの種がぎっしりとつまっていた。ビードロのように淡く透きとおったそれらは、炎の灯りを柔らかく反射して宝石のようにきらきら照り輝いている。
「――こりゃまた面妖な……、もらえるもんはもらっておくか」
数粒つまんで腰帯にはさむ。さらに、例の白い植物を根巻きしている太い縄を解くと、これも短く束ねて帯につないだ。
他にめぼしい物はないようだ。
東雲はいよいよ古びた木戸の前に立った。向こう側に動く者の気配がないことを確認すると、音を立てぬようそっと取っ手を押し開く。
しかし、その先にあったのは――暗い闇と行き止まりであった。
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