13人が本棚に入れています
本棚に追加
刑事がにやつきながら言った。
「だめですよ、小川三水さん。この程度で煮詰まっちゃ」
へ? 何でこの刑事私のペンネームを知っているんだ? いつぞやの職務質問の失敗を反省して、今回はちゃんと本名を言ったが、ペンネームは言ってないぞ。
「あなたでなければ、あの御夫婦が同意でか、片方が片方を連れ出すか、第三者が連れ出すかの三つの可能性があるでしょ」
「はあ」
「あの御夫婦、どんな格好をしていました?」
どんなって、たしか二人ともポロシャツに綿パン 運動靴でウォーキングに行くような姿だったよな。と思い出し、チラリと刑事をみる。
「あの格好、あの御夫婦が一人で着られると思います? 」
たぶん無理だろう、誰かが手伝わなくては。
「ということは、第三者が? 」
「はずれ」
刑事が楽しそうに言った。間違いなくコイツ、私で遊んでいるな。悔しい、当てたい。あらためて考える。一人では着られない、誰かが手伝う、第三者ではない……
「……お互いが着せるのを手伝った? 」
最初のコメントを投稿しよう!