01:小川三水の[この川原は二人の思い出の地となる]

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刑事がにやつきながら言った。 「だめですよ、小川三水さん。この程度で煮詰まっちゃ」 へ? 何でこの刑事私のペンネームを知っているんだ? いつぞやの職務質問の失敗を反省して、今回はちゃんと本名を言ったが、ペンネームは言ってないぞ。 「あなたでなければ、あの御夫婦が同意でか、片方が片方を連れ出すか、第三者が連れ出すかの三つの可能性があるでしょ」 「はあ」 「あの御夫婦、どんな格好をしていました?」 どんなって、たしか二人ともポロシャツに綿パン 運動靴でウォーキングに行くような姿だったよな。と思い出し、チラリと刑事をみる。 「あの格好、あの御夫婦が一人で着られると思います? 」 たぶん無理だろう、誰かが手伝わなくては。 「ということは、第三者が? 」 「はずれ」 刑事が楽しそうに言った。間違いなくコイツ、私で遊んでいるな。悔しい、当てたい。あらためて考える。一人では着られない、誰かが手伝う、第三者ではない…… 「……お互いが着せるのを手伝った? 」
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