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「その通り」
刑事が音を立てずに拍手をした。
「つまり、二人で自発的にあそこまで行ったんだ」
「その通り。正解を言いますと、ダンナさんは余命いくばくもない状態で、病院に入院していたんですよ。奥さんは軽い認知症でしたが、ご家族は気づいていなかった」
「ダンナさんに気がいってて、気づかなかったんだろうな」
「そうでしょうね、で、おそらくでしょうが、ダンナさんの方が思い出の地に行きたいと言い出した」
「家族は反対する」
「しかし奥さんは叶えてあげたい」
「だから隠れて二人で出かける」
掛け合い漫才のように、私と刑事は互いに言う。少し私は興奮気味になっているのに気がついたが、気にせず続けた。
「奥さんが自宅から着替えを持ってくる、二人で着替えをする、ご家族と病院の目を盗んで、思い出の地まで行ったんだ」
「素晴らしい」
刑事は、今度は音を立てて拍手をする。
「先ず病院が気づき、ご家族に連絡しました。心当たりが無い ご家族は我々警察に連絡、捜索を開始して三時間後くらいに、あなたから通報があったんですよ」
それで駆けつけた警察は、ちょっと興奮気味だったのか、やっと理解した。
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