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「小説というのは、もちろんフィクション、つまり作り話です。」
私は目の前に座る彼に熱く話す。
「とはいえ、無から有を創るのは神様だけです。人である我々は、有から有を創るわけですよ」
「だから図書館という訳ですか」
「そうです。図書館でたくさんの資料を読み、それを基に話を作り上げていく」
「しかしそれだとパクリとか摸写になりませんか」
「なりません。とも言えませんか」
私の言葉に目の前の男は笑う。私もつられて笑った。
私の名は小川三水、小説家だ。
ここは壱ノ宮駅ビルの中にあるカフェで、なかなか洒落ている内装なので私一人では少し気が引けるのだが、今は連れがいる。
女性の方が様になるが、あいにく男性である。しかし、様にならないわけではない。連れの男性は、なかなか格好いい。長身、スマート、顔はいわゆるイケメンである。それよりも誰が見てもまず印象を受けるのは、白ずくめのスーツ姿であろう。
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