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彼との出会いは少し前、1時間くらい前になるだろうか。今日の仕事は配達だったので、出掛けたついでに駅ビルの6階にある図書館に寄ることにした。
図書館に着くと、いつもどおり郷土史のコーナーに行き、いくつかの郷土史誌を目を通し借りる本に目星をつけると本棚から取ろうとしたその時、同じ本を同時に触れたのがミドウである。
10年ひと昔というが、なん年か前の少女マンガみたいな出来事だったので思わず笑ってしまった。ミドウも苦笑いしながら会釈をしてくれた。
その場はそこで別れたが、そういやあの本借り損ねたなと戻り手に取って、他にいくつか借りて図書館を出てエレベーターを待っていた時、またミドウに会ってその時に初めて会話をし、郷土史に興味があるので少し話をしましょうと、このカフェに誘われ今に至るわけだ。
「小説は、書かれはじめてどのくらいになるんですか」
「まだ2年ほどですか。小説投稿サイトに発表していますが、まだ賞にもピックアップにも引っ掛からない程度です」
「ジャンルはなにを」
「壱ノ宮の郷土を主体にした歴史小説です」
「それはまた……」
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