01:小川三水の[この川原は二人の思い出の地となる]

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「私たちはね、昔、空手をやっていたの」 健康そうなのはそのためか、スポーツではなく格闘技とは思わなかったな。だけど 「それと決闘とどう繋がるんです? 」 自分でもぶしつけとは思ったが、好奇心に勝てなかった。歴史よりこの夫婦の方が、興味が出てきた。 「私の家はね、空手道場をやっていたの」 にっこりと微笑みながら奥さんは話し始めた。 「父が若い頃から空手をやっていてね、私も幼い頃からやっていたの。小中は大したことなかったけど高校からかな? やっと芽が出て、インターハイまでいったわ」 「それはスゴいですね」 「ありがとう」 軽い どや顔が可愛らしかった。 「高校卒業してからは、会社に勤めて、帰宅してから道場の手伝いをして、ときどき大会に出て、優勝した事もあるのよ」 なかなかの達人らしい。とは言え、ご年配は過去の話を盛る事が多々ある、話半分に聞いておこう。 「でね、この人、会社の同僚だったのよ」 「出逢いは職場でしたか」 「そう、会社の先輩でね、どっかで見たことあるなぁって思ってたのよ」 「なにかきっかけが? 」
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