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「ある日出た大会に、この人も出ていたのよ! ビックリしちゃって、思わず話しかけちゃったの! 」
はしゃぐように話す奥さんは、少女のようだ。恋バナは、年に関係なく女を可愛くするらしい。
「それからお付き合いを? 」
「ええ、会社に内緒で帰りに待ち合わせして、食事したり飲みに行ったりね」
ごちそうさま、と言いたい気持ちだが、まだ決闘に繋がってない。こちらから振ってみるか。
「ひょっとして喧嘩したとき、ここで決闘したのが思い出ですか? 」
先走ったかな? と思ったが
「ううん、つきあってた時は喧嘩しなかったわ。その前に、この人は父と試合したもの」
なんか予想外の話になったぞ。
「この人をね、父に紹介するとき空手をやっていると話したら、父が手合わせをしたい、と言ってそれで道場で試合をしたの」
「それはまた、どういうつもりだったんでしょう? 」
「さあ? 男の考えてることなんて解んないわ」
クスリと奥さんは笑った。
「でね、この人、負けちゃったの」
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