01:小川三水の[この川原は二人の思い出の地となる]

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ああ、ダンナさんは お父さんに、娘を任せてください、僕はこんなに頼れますって、勝負に勝つことで示したかったんだな。 たぶん初日に試合を申し込まれたときに、男同士、通じるものがあったんだろう。だけど娘であり彼女には言えない。だから黙ってやっているうちに暗黙の了解になっていたから、話すの忘れたんだろうな。 ダンナさんを見ると完全に寝ているようだ。  いや、恥ずかしいから狸寝入りしているのかな? どちらにしろ会話に参加する気はないらしい。 「ダンナさん達、慌てたでしょう」 奥さんはちょっと むくれながら 「そうよ お父さんは怒るし、この人はあたふたするし、お母さんも いい加減にしなさいって言うし、私だけ悪者みたいになっちゃってね、家から出てっちゃったの」 「家出ですか」 「そんな たいそうなものじゃないわ、ただ飛び出しただけ」 「それでどうなりました」 「この人が追いかけてきてね、私が仲間外れされたのが気に入らないのを知って、謝ってくれたの」 おお良かった、大団円だね。 「でね、納得したからプロポーズもう一度受けて応えるつもりだったの」 え、まだなんかあるの?
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