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「そしたらこの人が[俺はもう言ったからお前から言え]って」
何故そこで捻る、独り者だからこそ思う、面倒くさっ!!
「でね、どっちがプロポーズするかで、初めて喧嘩になったの。もめまくった挙句、じゃあ決闘しようとなってね、敗けを認めた方が勝った方の言うことをきくという話になったの」
「それで決闘ですか」
「そう、ここでね」
奥さんは零れるように笑った。目の前に広がる緑の川原に、風が笑うようにそよいだ。
「それでその決闘はどうなりました」
「私の勝ちで、この人からプロポーズしたわ」
当時を思い出したのだろう、奥さんの顔は満悦の表情だ。
「それからはね、何を決めるのも話し合いして、どうしてもゆずれない時は、ここで決闘して決めたの」
体育会系どころじゃないな。この夫婦は武道系、いや真剣勝負系の間柄なんだ。
「新婚旅行先とか、新居とか、最初の子は男か女かとか、子供の名前とか」
「ちょっと待ってください。子供の名前を決めたという事は、妊娠中で決闘したのですか? 」
「そうよ、重いお腹抱えてやったわよ」
おおぉぉぃぃ!! 心の中でおもいっきり突っ込んだ。
「妊婦さんが何やっているんです」
「大丈夫、その格好見て、この人すぐ参ったしたから」
そう言ってケタケタ笑った。何だろう、男として絶対、女に勝てない何かを感じる。
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