深く逃げる

外出許可

新宿の地下に一時的な宿泊施設があり、そこに応募したところ意外とすんなりと当選した。
最近では地下で暮らすよりも郊外に出て地上で生活することを希望する人が多いらしい。たしかに南房総のあたりでは灼熱期でも３５度前後で留まっており、地上でも生活ができる。海に囲まれていることが気温上昇を食い止めているようだ。
急な退去だったためにいくつかの物を取りに部屋に戻らなければならない。
外出許可を貰うため、専用シートに必要事項を書き込み送る。
（お役所仕事だな）
おそらく今日中に返事は来ないだろう。
今日は新居を見に新宿に行こうと思う。

下町の地下街はまだ新しい。埋立地も多く海水の浸食などで開発が遅れたのだろう。しかし灼熱期の制定と外出規制から地下に発展させる必要があり、元々通っていた地下鉄を中心に地下街が形成されていった。
地下街を歩く。端を見ると地下鉄の地上へ出る階段が封鎖されていた。
都営線に乗り、１本で新宿を目指す。
地下は空調が効いていて、半袖では寒いほどだ。

２０分ほどで新宿に着いた。
昔は新宿ダンジョンと揶揄されるほど迷いやすい駅周辺だったと聞くが、今では地下街を網羅したマップのおかげで迷うことはない。