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動く歩道に乗り、歩くことなく目的地の近くまでたどり着いた。
住所を記録したナビが目的地まで案内する。地下街の壁に貼られたディスプレイが俺のマイクロチップに反応し行先をナビする。ただそれに従って進むだけだ。
「ここか」
ホテルの入り口ような佇まいのロビーが出迎えた。
掌のチップをかざし、ドアのロックを外してロビーに入る。すぐにロビーのディスプレイが案内を始める。
壁のディスプレイに従って部屋へと移動する。エレベーターに乗り込み地下へ潜っていく。
目的階でエレベーターを出て部屋まで移動する。
その間、誰にも会わなかった。住人がいないわけではない。設定次第でどうとでもできるのだ。おそらくエレベーターが一時停止したのは誰かがこの階にいたからだ。
鍵を開けることなく扉が開き、明かりが点く。
(狭いな)
地上の俺の部屋よりもかなり狭い部屋だ。急だったために仕方がない。
一通り部屋を見渡す。必要な家具はそろっているようだ。
趣味の為のいくつかの物と着替えなどを持ち出せばよさそうだ。思ったよりも少ない時間で外出は済みそうだ。
翌日、外出許可が区役所から届いた。
区役所に向かうと、二人の男性が出迎えた。やや背の低い初老の男性と恰幅のいい若い男性だ。
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