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「どうも、今回の外出に伴い付き添う者です」
軽く挨拶をし、チップを読み込んで本人確認。目の前でいくつかの届け出を済まし一通りの作業を終え、奥の部屋に通された。
「いやー、直接本人が出るのは珍しいんですよ」
そういって白髪交じりの頭をかく責任者らしき初老の男性。彼が言うには外出の許可を取るよりも専用の業者に頼んで家財道具を回収してもらう人の方が多いようだ。俺はあまり私物を他人に触られたくないと思い、自ら持っていくつもりだ。
同じマンションの他の住民の私物の回収も今回同時に行うらしい。
区役所の奥の部屋に入ったらオレンジ色の塊が3つ置いてあるのが見えた。潜水服のように見えるそれは3人分の外出用の特殊スーツである。
「では着替えましょう」
あれを着るのかと気が重くなる。二人の後に部屋に入った。
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