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出会い
「律(りつ)!」
名前を呼ばれた男の子は、すこし照れた表情で声がする方に振り返る。
その笑顔が可愛くて、意味もなく名前を呼びたくなった。
私が律と出会ったのは、まだ記憶に残ることもないくらい小さい時から。
お互いの両親が、銀行員で同じ社宅に住んでいて隣の部屋に住んでいた。いつもどちらかの家に集まっていて兄弟みたいに育てられた。
律には、2つ上のお兄ちゃんがいて私は、3人兄弟みたいな感覚だった。
律は、大人しくていつも私の後ろをついて来るような子で、見た目も女の子みたいに可愛かった。
律の隣はいつも私だった。
だから、どこか律は私から離れていくことなんてないって、根拠のない自信があった。
あの日までは…。
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