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これまでグリンは他の動物達の近くに行ったこともなかったのだ。
子どもの動物たちは、向こうから寄ってくるので別として。
「そうだな。オレもそう思う」
少し考えてから、グリンは言った。ニッキが行きたいなら、試してみてもいいかもしれない。
ニッキは喜んで、グリンの手を引っ張って、喫茶店に持っていく何かを探しに出かけた。レインはグリンの頭の上で、グリンの毛に埋もれて眠っていたが、グリンが動いたので片目を開けた。
そしてグリンの頭から生えている、虹色の木の芽をパリパリ食べた。
「店主さん、何が好きかな?」
ニッキが言った。
「何でもいいんだよ。なんでも受け取ってくれるから」
いつの間にか集まってきた動物の子どもたちが口々に教えてくれた。
「でも僕……」
ニッキがモジモジして言った。
「店主さんが喜ぶものをあげたいんだよ」
「オレもそう思う」
グリンは言った。
「でも好きな物が分からない。何が好きか知っている?」
ニッキは周りにいる、動物の子ども達に聞いてみた。
「バナナが好きよ。私が持って行った時、とっても喜んでくれたもん」
サルの子が言った。
「違うよ。リンゴがスキなんだよ」
ゴリラの子が言った。
「ちがうちがう。人参が好きなんだってば」
ウサギの子が言った。
「お花じゃないかなあ?」
「キャベツじゃない?」
「キノコだよ」
結局、店主の欲しい物は分からなかった。
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