グリンの森の喫茶店

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 「また来るよ」  グリンは言った。グリンは飲んでも飲まなくてもどっちでもよかったが、ニッキが困っていたからだ。ニッキは喫茶店に来るのを、楽しみにしていたから、店主さんが喜ぶお礼をしたかったのだろう。  「いいんだよ。ほら、もうコップにジュースを注いでしまったから、飲んでくれないと無駄になってしまうよ」  カメレオン店主は言った。  「あのね。カメレオン店主さんは、何が好きなの? 今度来るとき、持って来たいんだ」  ニッキは今日、お礼を渡すのはあきらめた。ジュースもカメレオン店主さんの気持ちも無駄になってしまったら、もったいない。  「お代のことかい? それならなんだってかまわないよ」  カメレオン店主は手際よく、飲み物の入ったコップをお盆にのせて、運んできた。  「さあ、座って」  グリンとニッキは、近くのテーブルに座った。グリンの頭からレインが顔を出して、珍しそうにキョロキョロした。  「おやおや。小さなお客さんもいたんだね」  店主はレイン見つけて言った。そしてカウンターに戻ると、小さなコップにジュースを入れて持ってきた。  「あんたの好きなものをあげたいんだよ」  コトン、とカメレオン店主がテーブルにコップを置くと、グリンが言った。グリンは別に店主と話したいわけではなかったが、ニッキの望みは叶えてあげたかった。  「ふーむ。じゃあひとつ、考えてみよう」  店主は考えてみた。何が欲しいか聞かれたのは初めてだった。  カメレオン店主は考えてみたが、分からなかった。サルがバナナをくれた時には、バナナが欲しかった気がする。ウサギがニンジンくれた時には、ニンジンが好きだった気がした。  でも今、何が欲しいか考えてみたら、バナナもニンジンも、その他にもらったことのあるなにもかも、欲しいとは思わなかった。  「あれっ。困ったな。何も思いつかない」  
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