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カメレオン店主はカウンターの中に戻ると、飲み物を作った。この前と同じジュースだが、砂糖はクリドルのシロップにかえてある。
「さあ、どうぞ」
二つのグラスに一つの小さなコップ。
(今度は飲むかな?)
カメレオン店主はワクワクしながら、虹色の鳥を観察した。
レインはちょっとテーブルにおりてきて、コップに顔を近づけたが、パタパタとグリンの頭に飛んでもどってしまった。
カメレオン店主はがっかりした。
「うまい。」
ジュースを飲んで、グリンは言った。
「おいしい!」
ニッキも言った。カメレオン店主は嬉しくなった。けれどほんの少し、心に引っかかりが残った。
三人が帰るとき、カメレオン店主はまた頼んだ。
「雨の日に、また来ておくれよ」
次の雨の日に、グリンとニッキとレインはまた喫茶店にやってきた。
カメレオン店主は、「今度こそ」と思って、レインのために小さな器に色々な種類の飲み物と食べ物をテーブルの上に一杯に並べて待っていた。
(これだけあれば、きっと好きなものがあるさ)
カメレオン店主はワクワクしながら、レインを見つめた。
グリンとニッキは、気の毒そうに食べ物が入った小さな器を見た。レインが生まれた時に、グリンとニッキも同じことをしてみたが、レインは食べなかったからだ。
三人はテーブルについたけれど、テーブルの上に一杯の食べ物があっても、やっぱりレインは何も食べなかった。そのかわりグリンの木の芽をパリパリ食べた。
仕方がないので、グリンとニッキ、カメレオン店主で小さな器に入った、たくさんの食べ物を全部食べた。
「うまい」
グリンが言った。
「おいしい!」
ニッキがいった。
「おいしいですねえ」
カメレオン店主も自分で自分の料理をほめた。グリンとニッキもウンウンとうなずいた。
レインも皆と一緒に、グリンの木の芽を美味しそうにパリパリ食べた。
何回雨の日がやってきても、相変わらずレインはグリンの木の芽しか食べなかった。やがてカメレオン店主はレインに自分の料理を食べさせるのはあきらめた。
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